アレルギー

アレルギー





 アレルギーには、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因物質)である食物を摂取すること

により起こる『 食餌性アレルギー 』と、花粉・ホコリ(ハウスダスト・HD)などを吸うことにより

起こる『 吸入性アレルギー 』があります。

 今年も花粉症の季節が迫ってきました。そこで今回は、この吸入性アレルギーにあたる

《 花粉症 》 についてお話したいと思います。





*花粉症とは・・・?



 植物の花粉により起こるアレルギー性の病気で、樹木・草花の花粉が飛

ぶ季節に花粉が目や鼻の粘膜に付着することで症状が現れます。





*どうして起こるの・・・?



 スギなどの花粉が、鼻のなかに吸い込まれるとアレルゲン(抗原)が花粉

から溶け出します。これをやっつけるために、人間は体のながで抗体という

ものを作り出します。

 この抗原と抗体が体の中で反応すると、ヒスタミンなどいくつかの化学物

質が放出されて神経を刺激し、くしやみが起きたり、鼻水が流れたりして、

抗原を体の外へ追い出そう とするのです。

 鼻の血管は刺激を受けて、鼻の粘膜が腫れ、鼻づまりが起こります。こうして花粉を含

んだ空気を入りにくくします。

 眼についた花粉も同じような体のはたらきで、眼のかゆみを起こします。また腫れて(鼻

づまりに相当)、涙(鼻水に相当)によって、花粉を洗い出そうとします。

 こうした一連の抗原と抗体による反応をアレルギー反応と呼ぴます。外から侵

入しようとした『敵』を排除しようとする人間の体の働きなのです。しかし、人によっては過

剰に反応しすぎることがあり、アレルギー症状がひどくなるのです。




 油断大敵!!

 最近の調査では、いま花粉症の症状がなくてもそれらの花粉に対するアレルギー

検査が陽性の人がおり、その約半数が4年以内に花粉症を発症したと報告されて

います。

 家族にアレルギーの人がいる等の遺伝素因のある人は今花粉症の症状がなく

てもアレルギー検査が陽性ならいずれ花粉症を発症するリスクがより一層高く

なるといわれています。今症状が無くても、既に症状がある患者さんと同様にマス

クを着用する等により、花粉症の発症を予防しましょう。。。





*症状は・・・?



 くしゃみ、鼻水、鼻づまり・目、のど、顔や首等の皮膚のかゆみなど、首から上の症状が

主ですが、だるい、熱っぽい、集中力の低下、イライラなどの全身症状をも伴うことがあり

ます。





☆一口メモ@ 〜『花粉症』と『風邪』の見分け方 〜 ☆


持続期間鼻水その他の症状
風邪1週間程度ねっとりしている発熱 etc.
花粉症花粉が飛散している間ずっとさらさら目のかゆみ




*花粉の飛散時期って・・・?



 花粉の飛散は前年夏頃の気象に影響され、気温が高く、相対湿度が低く、日照時間が

長くなると発育に好条件となります。原因としてよく知られる春のスギ、ヒノキ花粉の他に

もハンノキ、秋にはカモガヤ(イネ科)、ヨモギ、ブタクサ(キク科)、セイタカアワダチソウな

どがあります。

 春以外にも症状があるという人は一度検査されてみてはいかがでしょうか!?





☆一口メモA 〜 アレルゲンは一つじゃない・・!? 〜 ☆

 図1、2は過去3年間の当センターにおける スギ・

ヒノキの年次別件数(緑・青)とその陽 性件数(黄・

オレンジ)です。

 その年の花粉飛散量によって件数は変化しま す

が、陽性率のピークはスギ⇒3〜4月、ヒノキ⇒ 4

月で6〜7割となり、この時期のアレルギー 患者の

ほとんどがこれら花粉によるものだと思われます。

 図3は1年間の検査でスギ陽性の人のなかで 他

のアレルゲンにも陽性の人がどのくらいいるかを表

したものです。

 これによりスギに陽性の人の中の約37%にはダ

ニも、約32%にはハウスダストも、なんと約69%の

人がヒノキにも陽性であることがわかります。

 この際、『自分はスギ花粉症なん

だ!』という自己診断は やめて鑑別・治療、

また予防のためにもまとめて検査されることをお勧

めします。




*花粉症の人が増えているのはなぜ!?



@スギ花粉の増加

  ⇒ 戦後盛んに植林されたスギが花粉をつけるまで成長したことが

    考えられます。

A食生活の変化

  ⇒ 食生活が欧米化し、高タンパクな食事がアレルギー反応を高め

    ることになってしまいました。

B気密性の高い住居環境

  ⇒ ダニ・ハウスダストなどが増加し、アレルギー体質の人が増え

    ました。

C大気汚染

  ⇒ 車の排気ガスなどが原因でアレルギーを起こしやすくさせてい

    ることが考えられます。

D舗装された道路

  ⇒ 日中空気中を舞った花粉がアスファルト上に残り、風に巻き上

    げられることによって1日中花粉が飛散するようになりました。

Eストレス社会

  ⇒ ストレスは自律神経の調整を乱し、花粉症の症状を出やすくし

    ます。





*どうしたら予防できるの・・・?




 アレルギー治療の第一歩は原因となるアレルゲンを知り、体内への侵入を防ぐことから

始まります。

 薬は、今の症状を緩和させるのに有効ですが、アレルギー自体を完治させることは出

きません。薬だけに頼り、アレルゲンの暴露を抑えないとアレルギーが重症化して治り難

くなります。




◎花粉症に対する予防策!!

  @ 風が強く晴れた日には外出を控えましょう。

  A プロテクターメガネ、マスク、スカーフ、帽子などを着用しましょう。

     マスク:普通のマスクではスギ花粉のカット率は50〜60%程度で

       すが、花粉症用マスクではほぼ100%通しません!

     メガネ:普通のメガネをかけるだけでも目に付着する花粉の量

       は1/3になり、更にプロテクター付メガネにすると普通のメガネ

       の1/7になるという報告もあります!

  B 服はスベスベした素材を選ぶようにし、家に入る前は玄関先で衣服

    や髪についた花粉を落としましょう。洗濯物をしまうときも花粉を落と

    しましょう。

  C 帰ったら手・目・鼻を洗い、うがいをしましょう。

  D 花粉の侵入を防ぐ為、車の通風口は閉じるようにしましょう。(最近

    では花粉対策用フィルターの装備がされているものも多いようです

    が・・・)





*アレルギー検査




アレルギーの検査はいくつかの種類があります。

 @血液中の抗体を調べる検査

    今まで述べてきた「検査」とはこの方法でのことを言います。採血するだけで一度

  に何種類もの抗体の存在を調べることができます。

 Aパッチテスト・スクラッチテスト

    直接皮膚に抗原を付着させて発赤を見るテストです。お酒が飲める体質かそうで

  ないかを調べる「アルコールパッチテスト」などは良く知られていると思います。

 B鼻汁中の細胞を見る検査

    アレルギーに特有な好酸球という血液細胞がたくさん見つかれば花粉症です。風

  邪やアレルギーでない鼻炎と区別できます。



  先にも述べたとおりアレルギー(花粉症)はアレルゲンの特定がもっとも重要です。

  自分のアレルゲンを知り、その暴露を防ぐ事によって症状は激減することでしょう。検査、そ

 の他詳しくはお気軽にかかりつけ医、または当センターまでご相談ください。