食中毒

食中毒




 生活環境が衛生的かつ快適になった昨今、『食中毒など自分には関係ない!』なんて思われては ないでしょうか?

 食中毒は食品メーカーや飲食店によるものばかりではありません。その患者数は生活環境の向上には関係なく、

過去45年ほとんど変化していないのです。

 特に最近では、暖房器具の普及、輸入食品の増加、食品の大量流通により1年を通じて発生しやすい状況にあり、

より身近な問題となっています。

 しかし、知っていれば未然に防げる事もありますので、今回は食中毒とその予防についてお話しま す。




食中毒の原因は・・・?


 食中毒の原因のほとんどは私達が毎日口にする食品に容易に

紛れ込む事のできる細菌で、短時間の間に何万倍にも

増殖したり、他へ移ったりする事ができます。

 その為、知らないうちに被害が大きくなってしまうのです。



どんな菌でも食中毒になるの・・・?


 細菌には、体の中の環境に適応しながら定住し栄養となったり、さらに体内に入ってき

て害を及ぼそうとする細菌などをやっつける働きの常在菌と、これら常在菌の攻撃や、胃

液、腸液などの抵抗にも負けずに増殖して、悪さをする事の出来る病原菌があります。

 つまり基本的に常在菌は悪さをしませんが、この病原菌が食中毒を

引き起こすのです。



☆ 一口メモ ☆ 〜 輸入大国日本 〜

 日本は食材の半分以上を海外からの輸入に頼っています。

 もし輸入した冷凍魚介が感染性のある菌によって汚染されていた場合、食べる事の

危険だけでなく、その解凍水により生活環境までも汚染される


可能性は十分あり、食材を輸入に頼る以上、食中毒の危険性が

高くなる事を考慮しなくてはならないのです。

 食材の流通が地球規模となり、食卓が豊かになると食中毒の

脅威も地球規模となる為、取扱いにはより一層気をつけなけれ

ばならないのです。




食中毒はどのようにして起こるの・・・?



   食中毒が引き起こされる仕組みは下の3つがあります。



@感染型 ⇒ サルモネラ、キャンピロバクターetc.

    細菌に汚染された食品を口にすることで、生きた菌自らが食中毒を起こすもの。

   腸管で増殖し、組織に侵入して炎症を起こします。


A生体内毒素型 ⇒ 腸炎ビブリオ、病原性大腸菌etc.

    菌が腸管内で作り出した毒素により発症。菌により作り出せれる毒素が異なる為、

   症状も様々です。


B毒素型 ⇒ ボツリヌス菌、黄色ブドウ球菌etc.

    食品内であらかじめ細菌が増殖し、産生された毒素を経口摂取することで発症

   する中毒で感染ではありません。中には神経毒作用を持つ毒素を作り出すものも

   あります。




それぞれの菌の特徴は・・・?






食中毒を予防するには・・・?





 正しい知識で食中毒は予防する事が出来ます。

『予防の三原則』

食中毒菌を

 @付けない!

 A増やさない!

 B殺す!




それでは実際に、日常生活の中で気を付ける事にはどんなことがあるでしょうか!?



  ◎買い物 ⇒ 新鮮な店で新鮮なものをスピーディーに。。。

      ・生鮮食品は買い物の最後に購入しましょう。

      ・買い物には時間をかけず、買い物が終わっても長時間持ち歩かないようにしましょう。



  ◎保存 ⇒ 冷蔵庫の過信は食中毒のもと。。。

      ・ビンや缶は冷蔵庫に入れる前に拭いておきましょう。

      ・食品の長期保存はしないようにしましょう。

         菌は冷蔵庫で死ぬわけではありません。さらに低温で増殖できる菌もいます。

      ・扉の開閉に気を配る。

         庫内の温度が上がると菌が増殖しはじめます。



  ◎調理前 ⇒ 2次汚染の予防。。。

      ・洗える食材は全て洗いましょう。

      ・調理器具は食材が変わる毎にこまめに洗いましょう。

        特にまな板は包丁の傷目に細菌がたまりやすい為、熱湯消毒し、日光に当ててよく乾かす事!



  ◎調理中 ⇒ 加熱調理は食中毒の予防に最も有効。。。

      ・食品の中心部まで75℃1分間以上加熱しましょう。

         これで一部を除くほとんどの食中毒菌は死にます。



  ◎お弁当 ⇒ 長時間持ち歩いたり、翌日食べるのは厳禁!!


      ・前日に調理したおかずを使用する時は入れる前に再加熱しましょう。

      ・温かいうちにふたをせず、必ず冷ましてからにしましょう。

         温かいうちにふたをすると、お弁当箱の中は食中毒菌が増殖しやすい環境

        になります。



☆ 一口メモ ☆ 〜 楽しいはずの海外旅行に危険が!? 〜 

 「旅行者下痢症」という言葉がありますが、現地の人が日頃から感染菌の免疫を

つけているのに対し、衛生状態の良い環境に住み、免疫力をつけるチャンスのない

まま生活する日本人は、旅先で食中毒に遭い、苦しめられる事も少なくありません。

 正しい知識があれば、ある程度まで予防する事ができます。


   фなま水は口にしない。

      これは常識ですが、ジュースにも要注意!!なま水を凍らせた氷が入っている事があります。

      飲料水は自分で用意したものを飲むのが原則で歯磨きやうがいの時も油断は禁物。

      口に入れるものは全てに気を配りましょう。

   ф食事について。

      衛生的に信用できる店を選びましょう。加熱調理されたものを熱いうちに食べる事が基本です。
  

   ф健康管理は万全に。

      疲れがたまると抵抗力がグンと下がり、食中毒にかかりやすい状態になります。余裕のあるス

     ケジュールで体調管理は万全にしましょう。

      疲れは万病の素です!!




食中毒にかかってしまったら・・・?



 食中毒は時に死に至ることもあります。軽視は禁物で、重症化する前に早めに医療機関を受診する事が大切

です。

 受診する際には、原因と思われる食品、嘔吐物や便をビニール袋などに入れ、持参すると診断の重要な手が

かりとなります。

 早目の処置がその後の経過に関わりますので素人判断することなく、かかりつけ医などに相談するよう心がけ

ましょう。




家庭でできることは・・・?



 食中毒を起こし、下痢、嘔吐を繰り返した身体は水分が不足して脱水症状を起こしやすい状態にあります。水分

補給はもちろん、適当な塩分や糖分などを補給してあげてください。

 スポーツドリンクなどはこれらの成分が含まれているので、上手に活用するのも一つの方法でしょう。

 嘔吐がある場合は吐きやすい体位をとり、吐しゃ物で窒息しないよう留意してあげましょう。市販されている下痢

止め薬などは場合によって深刻な状態を引き起こす事があり危険ですので容易に使用せず、まずはかか

りつけ医を受診し、指示を仰ぎましょう。





 今年は暑い日が続きました。

 食べ物も傷みやすく、食中毒が発生しやすい環境にあると言えるでしょう。

 自分には関係がないと軽視せず、正しい知識を得、口にするものには十分に注意するなど予防に心が

けましょう。

 日頃からの体調管理も重要です。

 もし食中毒にかかってしまったかも・・・と思った時は素人判断で対処せず、すぐに最寄りの病・医院を受

診し、少しでも軽症で治癒できるように努めましょう。