インフルエンザ


  寒さも日増しに厳しくなり、またインフルエンザの流行する季節となりました。インフルエンザは低温(気温15〜18℃

以下)、乾燥(湿度40%以下)の環境を好みます。

  その為日本では11月〜3月にかけてインフルエンザウィルスが空気中で飛散する量が増加し、1月下旬から2月初

旬にピークを迎えます。

 早めの予防を心がけ楽しく冬を過ごしましょう。




★インフルエンザと風邪の違いって…?



 インフルエンザ(流行性感冒)と風邪(普通感冒)とは原因となるウィルスの種

類が異なり、風邪は喉や鼻に症状が現れるのに対し、インフルエンザは突然

38〜40℃の高熱が出るのが特徴です。






★インフルエンザはどうやって感染するの…?


 ・直接的接触

    感染している人のくしゃみや咳などでウィルスが空気中に撒き散らされ、その空気を吸うことで感染

   する。

 ・間接的接触

    感染している人が触ったタオルや電話、食器などにウィルスが付着していて後からそれに触った人

   に感染する。




★インフルエンザにかかったら…?



  インフルエンザの症状が出たら、早めに医師の診断を受けるようにしましょう。軽症の

うちに会社や学校を休むわけにはいかないという気持ちから高熱で苦しくなるまで病院に

行かないという人も少なくないのではないでしょうか!?

  最近では発症から48時間以内であれば、インフルエンザウィルスの増殖を抑える薬も

処方されるようになっています。

  根本的な治療が間に合わなくなり、かえって長時間寝込むことのないよう早めの受診

を心がけましょう。




★インフルエンザの合併症って…?



  インフルエンザにかかると合併症を引き起こす恐れがあります。

  合併症の種類は様々で、インフルエンザ脳症、中耳炎、気管支炎、肺炎、髄膜炎などがあります。

  中には、死に至る重大な合併症もある為、身体の各機能が未熟で抵抗力の弱い乳幼児や、お年寄

り、糖尿病などの慢性疾患のある方は重症化しやすく、また妊婦さんも注意が必要です。高熱、膿(うみ)の

ような痰、痙攣などの症状が出た時、また症状が長引くような時は合併症が疑われますので、早急に病・

医院へ行くようにしましょう。



●インフルエンザ脳症●

  最近日本では小児のインフルエンザ脳症が深刻な問題となっており、毎年約100人

の小児が死亡し、ほぼ同数の後遺症患者が出ていると推測されています。

  原因は不明ですが、インフルエンザウィルスの感染が発症の引き金となり、突然の

高熱に始まって、1〜2日以内に昏睡などの様々な程度の意識障害を起こし、短期間

のうちに全身状態が悪化し、死に至ることがあります。




★インフルエンザを予防するには…?



 @栄養と休養を十分に取りましょう。

   体力をつけ、抵抗力を高める事で感染しにくくなります。夜更かしや過労は避け、規則正しい生活を

  送りましょう。

 A人ごみは出来るだけ避けましょう。

   インフルエンザが猛威をふるうシーズンには、インフルエンザウィルスが空気中にたくさん浮遊してい

  る為、人がたくさん集まる場所を避け、病原体であるウィルスを寄せ付けない事が有効です。

 B適度な温度、湿度を保ちましょう。

   ウィルスは低温、低湿を好み、乾燥しているとウィルスが長時間空気中を漂っています。加湿器など

  で室内の適度な湿度を保ちましょう。

 C外出後は手洗いとうがいを忘れずに!!

   吸い込んだインフルエンザウィルスをすぐに洗い流せば、感染のリスクをある程度低く出来るので、

  外出先から帰ったらすぐにうがいする習慣を。。。

   また、のどの乾燥を防ぐことが出来ます。

 Dマスクを着用しましょう。

   ハイリスク群(インフルエンザに感染しやすい人、重症化しやすい人)など、どうしても予防の必要な人

  は厚手のマスクを着用しましょう。既に罹患した人もくしゃみや咳で他人に感染させるのを防げます。





  最も確実な予防は流行前にワクチン接種を受けることです。特に、高齢者や心臓、肺に慢性の病気を持つ人、気管支喘息を持つ小児などは受けた方が良いでしょう。

 ■インフルエンザワクチンとは。

   わが国ではウィルスから抗原を取り出して作っています。この際、ウィルスを増殖させるのに鶏卵を

使っている為、卵に強いアレルギーや痙攣の既往がある人、免疫不全の人、熱がある人などには接種で

きないことがありますので医師に相談してください。

 ■ワクチンの効果。

   インフルエンザワクチンは接種後、2週間で効果が現れ、およそ5ヶ月間効果が持続します。65才未

満の健康な大人なら発症阻止効果は70〜80%ありますが、100%完全ではあり得ず、20〜30%は発症

する可能性があることも理解しておく必要があります。

   しかし、インフルエンザワクチンは高齢者の死亡を防ぐ効果が約80%もあり、インフルエンザにかか

らないようにするだけでなく、もしかかったとしても重症になるのを防ぐ役割があります。


 ■ワクチン株の選ばれ方。

   インフルエンザウィルスにはいくつかの株(型)があります。A/香港型やA/ソ連型

などはここ数年で流行った型なので聞き覚えもあるのではないでしょうか?

   ワクチンはその年に流行すると予測された数種類の株を混合して作られます。流

行したものとは違う株のワクチンを接種しても予防に効果はありませんが、最近では

流行予測の精度向上によりワクチン株と流行ウィルス株は高い確率で一致していま

す。




★インフルエンザの検査は…?



   インフルエンザの疑いのある人の鼻の粘膜を綿棒で軽くこすって採取し

たものを診断キットで検査し、結果を判定します。採取してから結果が出るま

での時間は約20分ほどです。

   検査によってA型とB型の判別をした結果投薬する薬を決定します。




  迅速診断キットは検査する時期により実際はインフルエンザであっても、陰性になる事があります。(これを偽陽性といいます。)



  ¶ インフルエンザは発症後2〜3日がウィルス量のピーク

     AさんとBさんが検査をしたのはどちらも発症第1日目。体内であっという間にウィルスが増殖したAさんは

   検査時すでに迅速診断キットの検出限界(インフルエンザウィルスを検出するのに最低限必要なウィルス量)

   を十分超えていました。つまりAさんは陽性です。しかし、Bさんはゆっくりウィルスが増殖した為、第1日目の

   時点では検出限界以下で陰性となりました。

  ¶ でも大丈夫。。。

     医師は検査結果が陰性でも、こういったことも考慮し、症状などからも総合的に診断し、治療を行います。




★誤った自己判断は危険です!!



   インフルエンザは早期発見で、早めの治療をすることが肝心です。危険な症状を無視していたり、効かない薬を

飲んでいる人も少なくありませんので注意して下さい。

   特に市販されている風邪薬、解熱鎮痛薬の中にはインフルエンザ脳炎・脳症を起こしやすくするなどの危険なも

のもありますので、注意が必要です。

   ワクチンはお近くの病医院で接種することもできます。また、インフルエンザウィルスの迅速診断キットも最近で

は各病医院で常備されていることが多く、簡単に診断を受けることができるようになっています。

   詳しくは、当センター及びお近くのかかりつけ医にお問い合わせください。