ホーム > 健康アドバイス59
健康アドバイス59
糖尿病は近年患者数が増えている病気です。動脈硬化の原因にもなることや、多くの合併症を引き起こすことでも知られています。
糖尿病の合併症は、腎臓の機能の悪化、目の網膜病変による視力の低下、しびれなどの神経障害等がありますが、最近合併症の一つとして歯周病が注目されています。
歯周病とは、歯の周りに細菌が感染して引き起こされる病気で、悪化してくると歯ぐきや、歯を支えている骨が溶けてしまうことも起こります。
歯みがきがきちんと出来ていると起こりにくくなりますが、歯みがきが不十分であると、歯の表面に細菌の集団がくっついてしまいます。これを
歯肉の炎症が進行すると、歯と歯ぐきの間の溝が深くなってしまいます。これを歯周ポケットといいます。
ポケットの中は酸素が少なく、酸素が苦手な歯周病菌にとっては住みやすい環境になっており、細菌が繁殖してさらに歯周病が悪化してしまいます。
(日本臨床歯周病学会ホームページより)
・口臭が強くなる
・口の中がネバネバする
・歯ぐきが腫れてくる
・歯肉を押すと血や膿が出る
などの症状が出てきます。
そして、最終的には歯が抜けてしまう(歯を失ってしまう)ことになります。これは生きていくために必要な栄養を摂ることが困難になってしまい、重大な影響を受けることにもなりかねません。
それは、糖尿病で血糖値が高いために
① 白血球の働きが悪くなり、細菌に対する抵抗力が落ちてしまう。
② 体が脱水に傾いて口の中が乾燥しやすく、
などの理由から、口の中にいる細菌が繁殖し、その結果、歯周病が悪化してしまうと考えられています。
糖尿病のコントロールの指標であるヘモグロビンA1cが6.5%以上になると、歯周病を発症するリスクが高くなるといわれています。
そして、歯周病があると糖尿病の治療にも影響を与えてしまうともいわれています。
それは、歯周病のために歯の周りで炎症が長い間続くこととなります。この炎症が、
すなわち糖尿病と歯周病は、お互いを悪くしてしまう関係にあるといえるのです。
一方で、糖尿病と歯周病の両方を持つ患者さんは、歯石や歯垢を取り除いて歯周病を治療するとヘモグロビンA1cの値が下がる、つまり糖尿病が良くなってくることが知られてきました。
また、糖尿病の状態が改善すると、歯周病の状態も良くなってくることもわかってきました。
糖尿病の治療は、食事療法、運動療法、薬物療法があります。糖尿病の方は、主治医の指導をしっかり守って治療を続けて、コントロールが良い状態を保つようにしてください。
歯周病の治療で大切なことは歯垢をためないこと、増やさないことです。
毎日正しい方法で歯みがきを続けることで、歯周病が進むことを阻止できます。みがき方については歯科で相談してみるといいでしょう。
しかし、歯石になると歯みがきだけでは取り除くことが難しくなります。
歯石がある場合は、歯科で歯石を取り除いてもらうこと(クリーニング)が重要です。そして歯と歯ぐきのメインテナンスを定期的に受けることが歯の健康を保つこと、ひいては全身の健康を保つことにつながります。
糖尿病も歯周病も、病気になる前に予防することが大切です。食べ過ぎ、飲み過ぎを控えること、正しい歯みがきを日々続けること、そんなちょっとした生活習慣への気遣いが健康への近道になると言えるでしょう。