ホーム > 健康アドバイス51
健康アドバイス51
腎臓は、腰のあたりにあるそら豆の形をした握りこぶし状の臓器で、私たちの体を維持するうえで重要な働きをしています。
腎臓の皮質部分の中にはおよそ100万個の
1) 血液を濾過して尿を作ることで老廃物を排泄する。
2) 体液量やミネラルバランスを調節する。
3) 赤血球を作る働きのあるエリスロポエチンを産生する。
4) 血圧をあげるレニンを分泌する。
5) 骨を強くするビタミンDを産生する。
腎臓の働きが悪くなると尿が出なくなり、老廃物などが体に蓄積し尿毒症となり、最終的には
腎臓が悪くなった状態を慢性腎臓病(CKD)と呼んでいます。
下記1)2)のいずれか、または両方が3か月以上持続する状態とされています。
1)尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか(特にたんぱく尿の存在が重要)
2)糸球体濾過量*(GFR) < 60mL/分/1.73m2
あまり耳にしないかもしれませんが、実は患者さんは1,330万人(20歳以上の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。生活習慣病(高血圧、糖尿病など)や、メタボリックシンドローム(メタボ)との関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。腎臓は体を正常な状態に保つ重要な役割を担っているため、慢性腎臓病(CKD)によって腎臓の機能が低下し続けると、さまざまな病気の原因になります。
例えば上の表のように慢性腎臓病(CKD)があると、脳卒中や心筋梗塞など心血管病発症の危険性が、CKDの無い人に比べておよそ3倍になることが知られています。また、最近の研究では腎臓の悪い人は認知症の発生が、悪くない人の4倍程度高いとの報告もされています。
*糸球体濾過量(GFR):単位時間当たりにすべての糸球体により濾過される血漿量。腎臓の機能の目安になります。
腎臓の糸球体にある毛細血管は高血圧による刺激に弱いので腎機能が悪くなる要因になります。高血圧のために腎臓のはたらきが悪くなると余分な塩分と水分の排泄ができなくなって血液量は増加し血圧が上がります。さらに、血圧が上がれば腎臓への負担が増え、ますます腎臓の機能が低下するといった悪循環となります(心腎連関と言います)。したがって、腎臓のはたらきを守るためにも血圧をコントロールすることはとても大切です。
糖尿病が原因になって起こっている慢性腎臓病は、特に予後がわるいので注意が必要です。
治療に関して適切な判断を下せるように、病気になった人に対する治療の実績や、学会での研究をふまえて作られた診療の指針です。最新の治療法を含め多くの情報から有効性、安全性などを整理して、診療の目安を示してあります。病期に応じてこのガイドラインに従い治療を受けると、この国で標準的に行われている治療から大きく踏み外すことはありません。
残念ながら、現在の医学では腎臓機能がある程度まで低下してしまうと、腎臓をもとに戻す有効な治療法はありません。
慢性腎臓病(CKD)においては早期発見・早期治療によって、腎臓の機能をこれ以上低下させないことがとても重要で、日々の生活習慣の改善、食事療法や薬物治療による血圧管理、貧血改善、脂質代謝管理、糖代謝管理、塩分摂取制限などを総合的におこなうことが必要です。これは、言い換えるとメタボリックシンドロームを予防することでもあります。メタボリックシンドロームとは、過食と運動不足によって内臓脂肪が蓄積した内臓脂肪型肥満に、糖尿病、高血圧症および脂質異常症のうち2つ以上を合併した状態をいいます。メタボリックシンドロームの諸症状は、慢性腎臓病(CKD)の発症と進行の危険因子となります。
このように、メタボリックシンドロームと慢性腎臓病(CKD)は深く関連しています。
メタボリックシンドロームを防ぐことは、慢性腎臓病(CKD)を防ぐことにつながります。
メタボリックシンドロームに通じる生活習慣は慢性腎臓病(CKD)を引き起こします。メタボリックシンドロームは上記の様な生活習慣を続けることにより内臓脂肪型肥満になり、それに合わせて高血糖や高血圧、脂質異常が起きます。そのことがひいては慢性腎臓病(CKD)に悪い影響を与えるからです。メタボリックシンドロームの主な原因は、運動不足や食べ過ぎによる内臓脂肪が基本となるため、毎日の生活習慣を変えることで防ぐことが可能です。すでに「高血糖」「高血圧」「脂質異常」と診断されている方は、それらも合わせて血圧やコレステロール値などの数値を減らしましょう。
・健康診断の尿検査の項目で異常を指摘されたことがある。
・おしっこの色が変だと感じたことがある。特に血尿の場合はすぐに受診が必要です。
・おしっこが泡立っていると感じる。尿たんぱくが出ている可能性があります。
・夜間に何度もトイレに行く。
・顔色が悪いと言われることがある。
・疲れやすい。疲れが抜けない。息切れがする。
・靴や指輪がきつくなった。顔や足にむくみを感じる。
しかし、このような症状が出現した時には、腎臓の働きが相当低下していることが多いので、1年に1回は必ず医療機関で腎臓の検診を行うようにしましょう。