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健康アドバイス33
子どもは、ある日突然病気や思わぬけがを起こすものです。お父さんやお母さんなど家族の方は心配のあまりあわてるのがふつうです。特に初めての育児やお子さんがまだ幼いときには不安になるのは当たり前です。そんなときこそあわてないで冷静な対応がしていただけるようにとの思いを込めて、子どもの急病やけがのときに、医療機関への受診が必要な状態かどうかの見分け方や、家庭での対応方法をまとめてみました。
子どもの症状で一番心配になるものが発熱です。体温が37.5℃以上のときを熱があると私たちは考えています。
少し熱がある(37.5℃〜38.0℃)ときや、発熱が38.5℃程度までで、いつもどおり遊んでいるか、すやすや眠っているときはしばらく様子をみましょう。
しかし、発熱が39℃以上で不機嫌でぐったりしているとき、何回も嘔吐や下痢をしているとき、顔色が悪く苦しそうなとき、けいれんがなかなか止まらないとき、呼吸がおかしいとき、3か月未満の乳児が発熱したときはすぐにお医者さんを受診してください。
発熱時に家庭でしていただけることとしては、氷嚢(ひょうのう)、冷却シートなどで、頭や首、両脇、股の付け根を冷やすと熱が下がることがあります。ただし、冷やしすぎには気を付けてあげてください。また、ぬるま湯で絞ったタオルで体を拭いてあげると体温が緩やかに下がることがあります。
熱が38.5℃以上でつらそうな場合は解熱剤があるなら、使っていただいても構わないと思います。解熱剤はアセトアモニフェン製剤(アンヒバ、アルピニーなど)を指示された量で使いましょう。ぞくぞく寒気がするときはあたためてあげましょう。あつく感じてきたら、うす着にして冷やしたり、解熱剤を使いましょう。その後、汗をかいたらよく拭き着替えさせましょう。
発熱時には発汗や呼吸がはやくなるために体の水分が失われやすくなります。水分補給は大事です。子ども用のイオン飲料やうすいお茶などを少しずつこまめに飲ませましょう。
熱が下がっても、呼吸がおかしいとき、機嫌が悪いなどの症状があるときは、診察を受けましょう。すやすや眠り始めるか、機嫌がよくなるようなら、様子をみて診療時間中にかかりつけ医を受診しましょう。
けいれんは、急にからだの一部または全身をピクピクさせたり、意識がなくなって、目
が固定してグーっと笑ったりすることをいいます。白目になったり、呼びかけても反応がなかったりします。
けいれんに気付いたら、あわてて抱き上げたり、ゆすったり、頬をたたいたり、舌をかむことはないので口の中にものを入れたりしないで、どんなけいれんなのか落ち着いて様子をみてください。熱はあるか、目つきはどんな様子か、手足の動きはギッタンバタンさせているか、グーッと力が入っている様子か、吐き気はあるか、何分ぐらい続いたかなどに注意してください。
けいれんが1回だけで、数分以内の場合、けいれんの後、目を開けて周囲の呼びかけに反応して泣いている場合は、しばらく様子をみましょう。
しかし、けいれんが10分たっても止まらない、いったん止まっても繰り返す、意識が15分以上回復しない、激しい嘔吐を伴う、けいれんの後手足にまひが残る、高熱の際のけいれんで初めてで長時間続くとき、一度眠ってしまっても覚めた時にいつもと様子がちがうときはすぐにお医者さんを受診してください。
けいれんが起こったら、静かに寝かせ、呼吸が楽になるように衣服をゆるめましょう。けいれんの際に吐いてしまうと、口やのどがふさがり危険です。顔を横に向けてください。けいれんが終わったら、必ず体温を測っておきましょう。すぐに飲み薬や飲み物を与えないでください。
せきには、かぜや気管支炎など病気が原因のものと、異物などが入り込んで起きるもの
があります。せきの様子、全身の状態をよく観察しましょう。
せきが出ていても機嫌がよく食欲があれば心配ありません。
せきはあるが機嫌がよく、食欲もあるとき、時々コンコンというせきのとき、のどがヒューヒュー、ゼーゼーなっているが、苦しい様子がなく、横になって眠っているときは、しばらく様子をみましょう。
しかし、発熱し何度もせき込んでぐったりしているとき、顔色や唇の色が青いとき、せき込みが激しくケンケンというような状態のかん高いせきが出て息を吸うと苦しそうなとき、乳児が呼吸を止めたりするとき、呼吸がはやく浅いときはすぐにお医者さんを受診しましょう。
せきがでるときは、気温の急激な変化をさけ、特に乾燥には気を付けましょう。せきが激しいときは、部屋を加湿しましょう。加湿器がない場合は、湿ったタオルや洗濯物を干すと乾燥を防ぐことができます。また、食事がとれないときでも、水分だけは飲ませるようにしてください。痰が切れやすくなります。
喘鳴(ぜんめい)とは、呼吸に伴って、ゼーゼー、ヒューヒューという音が聞こえる状態をいいます。これは、鼻から気管支への気道に分泌物や痰がたまり気道が狭くなっているときに聞こえます。
喘鳴が聞こえる場合、音はどうか、首の付け根やみぞおちが息をするたびにへこむかどうか見てください。
また、熱があるか、息づかいや発汗、食欲などの様子も気を付けましょう。また、いつもはかかないのに、いびきをかいているかどうかにも気を付けましょう。喘鳴が聞こえても、すやすや眠っているときはしばらく様子をみてください。
しかし、喘鳴が強くなるとき、ゼーゼーやせきで横になって眠れないとき、乳児で呼吸が苦しそうで、発熱を伴うときは、すぐにお医者さんを受診してください。
家庭では水分の補給を十分にして、部屋の湿度を高くします。室内に
洗濯物を干したり、濡れたタオルをぶら下げるだけでも湿度はあがります。痰などを出や
すくするために、水分を頻繁に飲ませ背中をさすったり軽くトントンとたたいたりしてあ
げると効果があります。
何らかの原因で、急に出た皮膚の変化を発疹といい、アトピー性皮膚炎とか赤ちゃんの顔に持続的に出ている皮膚の変化を湿疹といいます。
発疹が出たら、どんな発疹か、かゆがるか、痛がるかなどを観察してください。発疹の形は小さな赤みなのか、いろんな形をしたものなのか、少し盛り上がっているか、発疹の広がりなどをみてください。発疹はすぐに消えてしまうこともありますから、カメラや携帯電話の写真機能などで発疹の状態をとっておかれると、受診の際に参考になることがあります。
発疹のみの場合やじんましんの場合はしばらく様子をみましょう。しかし、発疹がどんどん広がるとき、かゆみが強いとき、発熱またはゼーゼーという呼吸をしているときはすぐにお医者さんを受診しましょう。
家庭では、じんましんでも、強いかゆみがない場合とか、発疹が数個だけならその部分を冷やしてみて様子をみましょう。じんましんの場合は、こすったり、あたためると、発疹が広がったり、かゆみが強くなることがあります。お風呂などはさけることをお勧めします。また、じんましんは食べ物が原因となることがありますので、原因となる食べ物をさけるようにしましょう。
ただし、じんましんは食べ物が原因となることもありますが、多くは原因不明です。
子どもが下痢をしたらいつもの便と違う点をよく観察しましょう。
便のにおい(腐ったようなにおい、すっぱいにおいなど)、状態(血液や粘液が混じっているか、赤っぽい便、白っぽい便、クリーム色の便、どろどろの便、水様便など)、1日の回数や、発熱や発疹などの症状にも気を付けてください。また、便をしたオムツを残すなど、下痢便の一部をビニ−ル袋に入れておいて、診察を受けるときは持参してください(写真に残す方法もあります)。
下痢の回数が1日5回以内のとき、おしっこが普段と変わりなく出ているとき、熱もなく、機嫌がよいときはしばらく様子をみましょう。しかし、下痢回数が多く(1日6回以上)、ぐったりしているとき、脱水症状(唇や舌が乾いている、顔色が悪い、眼球がくぼんで目がトロンとしている、おしっこが半日以上でない、おしっこの量が少なく色が濃い、泣いても涙が出ないなど)があるとき、高熱、嘔吐、強い腹痛を伴うとき、便に血が混じるとき、おしっこの量が少なくなってきたときはすぐにお医者さんを受診しましょう。
家庭では、お尻がかぶれないようにオムツ交換のときなどによく洗ってあげてください。家族内の感染を予防するため、排泄物の始末をした後はよく手を洗いましょう。水分の補給を十分行いましょう。湯ざまし、子ども用のイオン飲料やうすいお茶などを少しずつ、こまめに与えましょう。
下痢がひどいときは、おなかを休ませるために固形物は与えないでください。下痢の回復期には、できるだけ加熱調理した炭水化物(おかゆやうどんなど)からはじめ、量は控えめにして与えるようにしましょう。
子どもはいろんな原因でよく吐きます。あわてずにお子さんの様子を観察してください。
何回吐いたのか、せきをした後で吐いたのか、吐いたものはどのようなものかなど。また、腹痛や頭痛はあるか、熱はあるか、お腹は張っていないか、機嫌はどうか、食欲はあるか、下痢があるかなども観察してください。
吐いたが食欲もあり、機嫌もよいとき、吐き気が止まった後、水分が飲めるとき、下痢、発熱などがなく、全身状態がよいときはしばらく様子をみましょう。
しかし、続けて何回も吐いているとき、吐いたものに血液や胆汁(緑色)が混じっているとき、ひきつけを起こすか、意識がぼんやりしているとき、強い頭痛や腹痛を伴うとき、熱が高いとき、キーッというような激しい泣き方をしているとき、おしっこが長時間出ていないとき、出た便に血液が混じっているときはすぐにお医者さんを受診しましょう。
家庭でできることは、吐いたときは、吐いたものが気管に入らないように、体を横向きに寝かせること。吐いた後、うがいのできる子どもはうがいをさせること。吐き気が止まったら、水や子ども用のイオン飲料を少量ずつ様子をみながら与えましょう。4−5回飲ませて吐かないようなら、朝まで様子をみても大丈夫です。
お子さんが腹痛を訴えたら、抱え込むように痛がらないか、痛がり方、時間、部位を観察してください。また、発熱、吐き気、下痢、激しい泣き方などほかの症状も、よく観察してください。
お腹が張ってないか、全体的にさすってみましょう。一定の部位に痛みを訴えるかどうかみてください。すぐに軽くなって我慢できる痛みになったり、排便により痛みが止まって全身状態がよいときは、しばらく様子をみてもよいでしょう。
しかし、お腹を抱えて痛がる、排便をすると血液が混じっている、下痢・嘔吐を伴っている、ぐったりして泣いてばかりいる、お腹をさすると痛がるときはすぐにお医者さんを受診してください。
また、腹痛時に家庭でできることは、排便で痛みが止まることもありますので、トイレに行かせてみましょう。簡単に痛みが止まるようなら、少し水分を飲ませてください。
吐き気やお腹の痛みがあるときは柑橘系の飲み物、牛乳類は飲ませないでください。お腹に炎症があるとき(虫垂炎、胃腸炎など)には炎症を悪化させるので、カイロなどではお腹をあたためないようにしましょう。