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健康アドバイス46
最近、マスコミやメディアで取り上げられることが多くなった下肢静脈瘤ですが、いったいどんな病気なのでしょうか? また、どんな治療法があるのでしょうか?
下肢静脈瘤とは、心臓の方へ返っていくべき静脈の血液が、脚を下げていることで足先の方へ逆流してしまい、その圧力で、ふくらはぎなどで静脈がコブ状にふくらんでしまう状態です。瘤というのはコブのことです。ほとんどの場合、このコブは下の写真のように外から見えるので、自分でも診断することができます。この病気は、軽いものも含めると、4−5人あたり1人にみられるというデータもあり、非常に多くの方が持って見えます。
下肢静脈瘤自体は、生命には関係のない病気です。
前述のようなコブも症状の一つです。
ふくらはぎに血液がたまりやすい状態になるため、脚の重さ、だるさ、ほてり、むくみ感、違和感、こむら返り、といった症状が特徴です。
皮膚の血液循環が悪くなると、皮膚炎や皮膚の黒ずみ、ひどくなると皮膚潰瘍(皮膚が削れて穴ができる)になる場合も1−2%にあると言われています。
静脈のコブのなかに血栓という血の塊ができると、炎症が起こって固くなり、一時的に強い痛みが出ることがあります。
比較的女性、それも出産経験のある方、立ち仕事の方に多く、遺伝性も指摘されています。
下肢静脈瘤があると、肺や脳に血栓が飛ぶなどと言う話がありますが、実際にはそのような事例はほとんどありません。
下肢静脈の超音波検査(エコー)でほとんど確定診断が可能です。超音波検査は、体に優しい、痛くない検査です。
前述の症状がつらい場合には、薬局などで扱っている弾性ストッキングを用いた圧迫療法で、症状を確実に和らげることができます。ただし、はいても病気そのものが治るわけではありませんし、はくのをやめてしまうと元に戻ってしまいます。
前述の症状がつらく、弾性ストッキングをはき続けるのもつらいという方には、手術治療が考慮されます。
下肢静脈瘤の手術治療は、近年大きく変遷しています。ほんの7年くらい前までは、命にかかわる病気ではないのに、1週間以上入院して、深い麻酔をかけて、大きく皮膚を切って行う、かなり大がかりな手術のように認識されていたので、下肢静脈瘤でつらい患者さんもなかなか治療をしようという気になれませんでした。
しかし、手術や麻酔技術の進歩、欧米のやり方の導入により、ほとんどの手術が日帰り手術でできるようになったことで、手術のハードルがかなり下がっています。
さらに、ハードルが下がった理由としては、カテーテルという細い器具を使って、皮膚を切ることなく治療できる、静脈血管内焼灼術(しょうしゃくじゅつ)が日本でも保険診療でできるようになったことがあげられます。マスコミやメディアでよく報じられているラジオ波とかレーザーを使う方法です。かなりの方が、この静脈血管内焼灼術で治療可能です。
下肢静脈瘤は、近年の技術の進歩により手術治療のハードルが下がっていて、以前とは比較にならないほど手軽に受けていただけるようになっています。命に関係ないからといって、つらく、生活の質が下がっているのを我慢している必要のない病気になっています。
心配であれば、かかりつけ医か専門医療機関に相談してください。