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健康アドバイス28
大気汚染に係る一酸化炭素の環境基準については「1時間値の1日平均値が10 ppm 以下であり、かつ8時間平均値が20 ppm 以下であること」と定められていますが、タバコを1日1箱吸っている人の吐く息には、約20ppmもの一酸化炭素が含まれており、ゆうに環境基準を超えてしまいます。
JT(日本たばこ産業(株))のホームページには、『私たちは、一律的な全面禁煙には、反対します』と掲げられています。『吸う人も吸わない人もここちよい世の中へ』。心地よいキャッチフレーズですが、本当にこれが理想の世の中でしょうか?
平成14年に制定された「健康増進法」によれば、(国民の責務)として、『国民は、健康な生活習慣の重要性に対する関心と理解を深め、生涯にわたって、自らの健康状態を自覚するとともに、健康の増進に努めなければならない』とあります。受動喫煙(非喫煙者が喫煙者の吐き出す煙やたばこから直接でる煙を吸い込むこと)の防止マナーを守っていれば問題ないと、喫煙者の権利を主張する事は重大な法律違反を犯している可能性があるのです。
「禁煙治療のための標準手引書」のはじめに、『喫煙はわが国のような先進国において疾病や死亡の原因の中で防ぐことの出来る単一で最大のものであり、禁煙は今日最も確実にかつ短期的に大量の重篤な疾病や死亡を劇的に減らすことのできる方法です。すなわち、禁煙推進は喫煙者・非喫煙者の健康の維持と莫大な保険財政の節約になり、社会全体の健康増進に寄与する最大のものと言っても過言ではありません』と述べられています。
『吸う人も吸わない人も、タバコのないここちよい世の中へ』これが理想とは思いませんか?
日本人の喫煙率は男性で約4割、女性で約1割ですが、喫煙男性の4人に1人、喫煙女性の3人に1人はタバコをやめたいと思っていても止められない人。その原因は、喫煙が「ニコチン依存」と「心理的依存」二つによる依存症という病気だからです。
10問中、5問以上YESの人は、「ニコチン依存症」という病気を患っています。
1日の喫煙本数 × 喫煙年数(ブリンクマン指数)が200 以上の人で、今すぐ禁煙をしたいという意思のある人は、健康保険を使った治療を受けることが出来ます。
タバコを吸う‘舘 ひろし’さんに憧れてタバコを吸い始めたあなた。禁煙された‘舘 ひろし’さんは現在もっとカッコよくなられていますよ。意地と根性で禁煙する時代は終わりました。禁煙治療ではなく、禁煙支援というサービスを受けてみませんか? タバコを吸わなくても済んでいる自分を想像してみて下さい。その先には、前途輝く新たな人生が待ち受けている事に気づかれるでしょう。
まず始めに大切な事は、禁煙は、「喫煙者vs非喫煙者」の関係ではなく、「喫煙者+非喫煙者vsタバコ」であるという事。喫煙者が禁煙すれば、禁煙した本人だけでなく、周りにいる人や家族みんなが幸せになれる。この事が重要なポイント!
中学生時代から今まで、タバコが身体に悪い事は耳にタコが出来るぐらい聞かされて分かっている。でも、タバコはストレス解消に役立っているし、禁煙するのは更にストレスがかかって身体に悪い。これって本当でしょうか?
タバコを吸うとニコチンは血液中から脳に入り、ニコチン受容体に結合する事によりドーパミンという物質が放出されて快感が生じます。繰り返しタバコを吸うと、脳の中はニコチンが入ってこないとうまく作動しなくなり、集中力低下・イライラ感などのストレスを感じるようになってしまい、ニコチン切れを補うためにまたタバコを吸ってしまう。この悪循環がニコチン依存症。つまり、ストレス解消のためにタバコが必要だというストレスとは、そもそもニコチン切れによるストレスであり、喫煙により引き起こされたストレスなのです。
我慢をするつらい禁煙は過去の話。ニコチン依存症ですので、禁煙外来のある医療機関を受診し、正しく治療を受ければ楽しく禁煙が出来ます。禁煙サポートというサービスの提供を受ける気になりさえすればよく、禁煙補助薬を使った適切な治療を行うことにより、体重増加も抑えられ、つらい事よりも楽しい事の方が増えてきます。
○飲み薬(バレニクリン):脳内のニコチンレセプターに働き、ニコチン切れによる症状が緩和され、タバコも美味しいとは感じにくくなります。
○ニコチンパッチ:皮膚に張るパッチで、ニコチンを少しずつ補給してニコチン切れの症状を和らげます。
○ニコチンガム:ニコチン入りのガムを噛むことによりニコチン切れを補います。
これらの禁煙補助薬を使って気軽に楽しく禁煙にチャレンジしてみませんか?
何歳からでも禁煙の効果は期待できます。長年吸ってきた人ほど、禁煙する事により咳・痰や息切れなどの症状改善を実感出来ます。
禁煙後1分でタバコのダメージから回復しようとする機能が働き始め、20分で血圧・脈拍が低下。手の温度も正常まで上昇し、8時間で血液中の一酸化炭素濃度が正常になり、血中酸素分圧も回復して運動機能も改善。24時間で心臓発作の確率が下がり、48時間で味覚や嗅覚が改善。48〜72時間でニコチンが身体から完全に抜けるのです。
長期的には、禁煙1〜4年で肺がんになる危険が半減しますし、女性では肌荒れやしみ・そばかすも改善し骨粗鬆症にもなりにくくなります。本人はもちろんの事、家族の健康にも役立つ事も大きな利点でしょう。
タバコ代が値上げされた今、タバコ代が浮くという経済的な効果も見逃せません。1箱410円の場合、1日1箱でも年間約15万円。これまで迷惑をかけて来た家族と旅行に行けば、家族全員で禁煙の喜びを享受出来ます。
禁煙したいと思う気持ちにさえなれれば、今までとは違った生活を手に入れることが出来ます。これまで禁煙に成功した人は、決して過去のタバコを吸っていた自分には戻りたいとは思われません。
『タバコのないここちよい世の中』にするため、タバコのデメリットばかりを強調するのではなく、これからは喫煙者も非喫煙者も共に禁煙により得られるメリットを考えてみませんか?
禁煙は、楽しく!