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健康アドバイス68
ヘッドホンやイヤホンで大きな音を聞き続けることにより引き起こされる難聴です。正式には音響性難聴(おんきょうせいなんちょう)といいます。
現在スマートフォンや携帯型音楽プレーヤーの普及により、ヘッドホンやイヤホンを使用することが増え、11億人もの世界の若者たち(12−35歳)がリスクにさらされていると言われています。一方で新型コロナウイルスの流行以後、ヘッドホン、イヤホンの利用時間が増加したとの調査結果もあります。
ヘッドホン難聴はゆっくりと進行するため、初期には難聴を自覚しにくいことが多いです。耳閉感や耳鳴りを伴うこともあり、一度重症化すると回復は難しいです。
原因は大きな音を習慣的に聞くことにより、内耳にある有毛細胞(ゆうもうさいぼう)が障害されて引き起こされます。
有毛細胞とは音の信号を電気信号に変換し、脳に伝える働きをしています。
WHO(世界保健機関)では80dB(デシベル)で1週間あたり40時間以上、98dBで1週間あたり75分以上聞き続けると、難聴の危険があるとしています。100dB以上では急に難聴が生じることもあります。
【参考】
dB(デシベル)とは騒音値や音の強さや音量を表す単位です。
〇身近な音のdB(デシベル)
dB(デシベル) | 身近な音 |
---|---|
100−120dB | 自動車のクラクション(2m) ジェットエンジン(飛行機)の近く |
80−100dB | 建設工事現場、犬の泣き声(3〜5m) 大声で話す声、鉄道ガード下 |
60−80dB | テレビ(1m)、洗濯機(1m)、掃除機(1m) 電話のベル、地下鉄の電車内、幹線道路の交差点 |
40−60dB | 図書館、昼間の静かな住宅地、市内の深夜 家庭用クーラー(室外機) |
20−40dB | ささやき声、木の葉のふれあう音 郊外の深夜 |
主な症状には以下のようなものがあります。
・聴力の低下
・耳鳴り
・めまい
・耳の奥の痛み
・耳が詰まったような感じ
治療は軽度のものであれば耳を安静にすれば回復することがあります。
大音響で急に難聴が生じた場合は、突発性難聴と同様に、ステロイド剤、ビタミンB12製剤、ATP製剤などを使用します。
しかし一度、有毛細胞が壊れてしまうと再生しないため聴力が戻ることはなく、場合によっては補聴器を使用します。
予防には以下のようなものがあります。
・使用時間を1日1時間以内とする
・定期的に耳を休ませる
・なるべく音量を下げる
・ノイズキャンセリング(周囲の雑音を低減させる)
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