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健康アドバイス57
統合失調症は代表的な精神疾患ですが、残念ながらいまだに誤解や偏見が多いのが事実です。今回は統合失調症についてお話ししたいと思います。
統合失調症は、慢性的に社会生活に支障をきたす精神疾患です。原因は、脳内における「ドーパミン」という物質の働きが不調になることで発症すると言われていますが、原因は完全には解明されていません。
発症時期は思春期から青年期が多く、40歳を過ぎて発症することは稀です。
以下の症状が2つ以上認められます。
1. |
実際には存在しない物が見えたり |
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2. |
確信していて訂正が不可能な、事実と異なった考えを持つようになる。「監視されている」「悪い噂を流されている」など、被害的な内容が多い。 |
3.まとまりのない発言・・・・ | いわゆる |
4.まとまりのない行動・・・・ | 異常に興奮したり奇妙な姿勢を取り続けたり、会話や動きが停止したりする。 |
5. |
「いきいきとした感情」が失われ、物事に興味や楽しみを感じなくなる。 |
薬物療法が主体となります。
抗精神病薬(メジャー・トランキライザー)という脳内の神経の働きを調節する薬が使われ、幻覚や妄想、興奮といった症状を改善します。
錠剤や液剤を服用する方法が主体となりますが、毎日決められた量を数回に分けて服用する必要があります。
どうしても薬を飲み忘れてしまう、人前で薬を飲みたくない、という事情がある場合には持続性注射剤(LAI)という効果が持続するタイプの注射を、2〜4週間に1回受ける方法もあります。
統合失調症は一旦症状が良くなっても再発する可能性があります。主治医の許可が出るまでは、自己判断で薬を減量したり中断したりしないことが大切です。
抗精神病薬は主治医から定められた量を守って飲んでいれば安全な薬ですが、眠気や集中力の低下が出現する恐れがあるため自動車の運転や危険な作業は控えてください。
また、一部の薬は糖尿病を悪化させる恐れがあるため、糖尿病と診断されたことがある場合は主治医に申し出てください。
家族が統合失調症と診断された場合は、どのように本人に接したら良いのでしょうか?
まずは病気になってしまったことについて本人を責めない事が大事です。
統合失調症を発症すると意欲や集中力が低下し
また、悲観的にならないことも大事です。
統合失調症が精神分裂病と呼ばれていた頃は「一生治らない」「仕事や自立は出来ない」と認識されがちでした。しかし、1990年ごろより非定型抗精神病薬と呼ばれる新しいタイプの治療薬が用いられるようになってから飛躍的に治療が進化し、治療を受けながら就労したり自立した生活を送ったりする患者さんも増えつつあります。本人だけでなく、家族も冷静に病気を受け止め、正しい知識を身に着けることが大切です。