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健康アドバイス40
(1)朝日を浴びて起き (2)昼間光を浴びて活動する
(3)規則的な食事をとって (4)夜は暗い所で過ごす
この4点が、よく眠るための基本。1日は24時間ですが、人の体内時計は25時間。このずれを調節するために朝日を浴びることが大切! 朝日を浴びることで、体内時計がリセットされるのです。また、規則的な食事をとることも生体リズムを整えるためには重要です。LEDの開発・普及により、夜はますます明るくなり、眠れないからといってスマホでゲームをすれば、明るい画面でますます眠れなくなります。
深夜労働や交代勤務に従事する人が増え、すべての事に24時間対応が迫られる現代社会を生き抜くには、これら4点を実践する事は容易ではありません。また日本は今、急速な高齢化が進んでおりますが、加齢とともに夜間の睡眠時間は短くなり、浅い眠りで途中で目が覚める「中途(ちゅうと)覚醒(かくせい)」が目立ってきます。中高生でも20%強が不眠を抱えていると言われており、これら若者の不眠の特徴は、なかなか寝付けない「入眠(にゅうみん)障害(しょうがい)」が多いと言われております。
不眠は、単なる昼間の眠気だけでなく、高血圧や糖尿病などの生活習慣病になるリスクが高く、慢性化した不眠では、うつ病発症のリスクも高まります。慢性の不眠症を治療することは、これらの身体疾患の予防にもつながります。厚生労働省は、生活習慣病の予防として、食事・運動・休養を掲げておりますが、十分な睡眠をとることも休養には必要と思われます。現代社会において、誰もが陥る可能性のある不眠症。睡眠を正しく理解し、不眠症を予防・治療することは、とても大切な事なのです。
睡眠には、身体を休める効果と脳を休める効果があります。眠りにつくと、脳の眠りであるノンレム睡眠が現れ、次に身体を休めるレム睡眠が表れます。レム睡眠の時期に夢をみると言われており、目覚めの準備状態ですのでこの時にすっきりと目覚めることが出来ます。およそ90分周期で一晩に4〜5回繰り返されております。昼間の居眠りはほとんどがノンレム睡眠であり、少しうたた寝するだけで頭がすっきりするのは脳を休める睡眠だからです。
睡眠時間は年齢により変化します。新生児は1日16時間眠り、以後次第に減少して、成人の夜間睡眠時間は約7時間となりますが、加齢とともにさらに短くなり、高齢者では眠りが次第に浅くなり、中途覚醒が増えてきます。また、睡眠のリズムを調整している体内時計による睡眠時間帯も年をとるにつれて早まってきます。年をとれば早寝早起きになるのは、この様に変化した体内時計の影響なのです。最適な睡眠時間は人それぞれですが、6.5〜7.5時間の人が最も6年後の死亡リスクが短いとの報告もあり、昔から信じられてきた8時間睡眠が人間にとって必要な睡眠時間ではない様です。
一口に不眠症といっても、様々なタイプがあり、それぞれに適した対処法や薬物を選択する必要があります。
1.過覚醒型:ストレスやうつ、不安症状、眠れない恐怖などが原因となり緊張も強いため、抗不安作用のあるベンゾジゼピン系・非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使用せざるを得ない場合が少なくありません。しかし、抗不安作用のある睡眠薬を長期服用した場合には急激な休薬はかえって不眠症状を悪化させることもあり、自己判断による休薬はおすすめできません。また、高齢者に対してはふらつきや眠け、認知機能の低下、筋力低下による転倒・骨折のリスクもあり、安易な使用は推奨されません。
2.リズム異常型:寝床に入るのが早すぎたり、加齢による朝方化、交代勤務による影響、夜型の睡眠リズムなどが原因であり、これらの不眠に対しては、睡眠習慣を改める事や、体内時計を整える作用のあるメラトニン受容体作動薬が適応になります。
3.睡眠恒常性異常:睡眠時間が短くても、日中の眠気や翌日の睡眠時間の延長が認められない場合を指し、午睡の増加や運動不足など活動量低下による睡眠必要性の減少が含まれます。高齢者の不眠にはこのタイプが多く、2014年11月に発売された、覚醒中枢を抑制するオレキシン受容体拮抗薬の効果が期待されます。
健康づくりのための睡眠指針 2014 〜睡眠12か条〜(厚生労働省) (1) 良い睡眠で、からだもこころも健康に。 (2) 適度な運動、しっかり朝食、ねむりとめざめのメリハリを。 (3) 良い睡眠は、生活習慣病予防につながります。 (4) 睡眠による休養感は、こころの健康に重要です。 (5) 年齢や季節に応じて、昼間の眠気で困らない程度の睡眠を。 (6) 良い睡眠のためには、環境づくりも重要です。 (7) 若年世代は夜更かし避けて、体内時計のリズムを保つ。 (8) 勤労世代の疲労回復・能率アップに、毎日十分な睡眠を。 (9) 熟年世代は朝晩メリハリ、昼間に適度な運動で良い睡眠。 (10)眠くなってから寝床に入り、起きる時刻は遅らせない。 (11)いつもと違う睡眠には、要注意。 (12)眠れない、その苦しみをかかえずに、専門家に相談を。 |
どの様なタイプの不眠症に対しても基本は日常生活において生体リズムを整えることが大切です。
(1)朝日を浴びて起き (2)昼間光を浴びて活動する
(3)規則的な食事をとって (4)夜は暗い所で過ごす
これらの事を行っても十分な睡眠がとれない方は、早めの受診をおすすめします。睡眠薬は副作用があって身体に悪い、怖い薬だ。寝酒で十分と思っていませんか?睡眠薬替わりの寝酒は、飲酒直後には眠くなっても眠りが浅く、利尿作用もあることから夜中に目が覚めてしまったり、睡眠時無呼吸症候群などの病気を悪化させることもあり推奨出来ません。かかりつけ医に相談されれば、あなたにあった睡眠薬がきっと見つかるはずですよ!
あなたの不眠はどのタイプ?
【参考資料】
睡眠医療 増刊号 株式会社 ライフ・サイエンス 2014.11
健康づくりのための睡眠指針2014 厚生労働局 2014.3