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花粉症のおはなし
健康アドバイス6
1.花粉症とは?
あなたは春がお好きですか。 好きと答えた方は、 多分春の花粉症にかかっていない方でしょうね。 なぜ花粉症にかかりやすいタイプの人とかかりにくいタイプの人がいるのでしょう。 まず、 本人が、過去にアレルギーによる皮膚炎や、 ぜんそくなどにかかったことがあるとか、 今もかかっているなど、 アレルギー反応を起こしやすい体質である場合は鼻のアレルギーである花粉症も起こしやすいといわれています。 あるいは、家族に鼻のアレルギーや、 アレルギーによる気管支ぜんそく、 アトピー性皮膚炎など、何らかのアレルギーをもっている人がいる場合です。 アレルギーを起こしやすい体質は、 遺伝するケースが多くあるからです。
2.花粉症はこうして起こる
この自覚症状がないところに大きな落とし穴があり、ついつい毎日の生活において解っていても自制が出来ず、徐々に各々の生活習慣病が互いに関連し合って一つの大きな「病気」として発症に至ってしまいます。本人はそこで初めてこの生活習慣病の重要性を認識し、又その周囲の人達はこの人の事例を目の当たりにして生活習慣病の恐さを語り合うのでありますが、やはり日常生活に活かせるのは並大抵ではありません。何しろ自覚症状がありませんので、やはり此れまでの生活習慣を変える事は難しく、二の舞を踏まない様に、先を見据えて健康への生活を続ける方々は如何にみえるでしょうか。
3.花粉症はなぜ増えた?
花粉症は、ほんの20年ほど前まではあまリ知られていませんでした。ところが、今や10人に1人は花粉症だといわれるほどに 誰もが知っている病気です。かつては花粉症とは気がつかずに、かぜと誤解されて見過ごしていたケースも多かったようです。
では、なぜ花粉症が増えたのでしょうか。理由として様々な説が挙げられています。 「太平洋戦争で失われた森林資源の回復に各地でスギが植林され、それらが樹齢30年以上になり、大量の花粉をまき散らすようになった」、 「芝生や高速道路の分離帯などに外来のイネ科植物が植えられ、人々の身近で空中を飛ぶ花粉の量が増えた」 といった花粉の増加を原因とする説や、「食事が欧米化して、肉や卵、牛乳などたんぱく質が多い栄養を摂取するようになり、昔よリも抗体を造りやすい体になった」、「ストレスの増加は、自律神経のバランスを崩しやすい。これがアレルギーを発症させやすくしている」という生活の様変わりを原因とする説や、「大気汚染が、普段から鼻粘膜を痛め、 これが花粉症を起こしやすくしている」 などの説です。しかし、『これこそが花粉症を増やした犯人だ』 といえる決定的な原因は、まだ分かっていません。ここに挙げたようないくつかの要因が、重なりあって、もともとアレルギーを起こしやすいタイプの人が、花粉症にかかりやすくなっているようです。
4.花粉について
スギやブタクサなどの花粉は、雄花が飛びます。花粉は、フワフワと空中を漂って雌花にたどり着き、受粉します。植物にしてみれば、こうして子孫を残すわけですから、花粉を飛ばすのは、大切な行為なのです。大きさは、スギ花粉が直径100分の3ミリ。ブタクサ花粉は、100分の2ミリ。肉眼で見ようとしても、1個1個見えません。日常生活では、空気中に花粉が飛んでいるなんて、まず気がつかないでしょう 鼻水、鼻づまりなどのアレルギー症状の原因となる、これら花粉ですが、花粉そのものが、抗原というわけではありません。花粉にふくまれているたんぱく質の一種が、抗原です。花粉は鼻や眼の粘膜に吸着しやすい大きさですから、その花粉から溶け出すたんぱく質が、鼻や眼から吸収され、花粉によるアレルギーが起きるのではないかと考えられています。
5.今年の花粉量について
スギの開花は春。とはいっても地域によってまちまちです。九州では2月上旬、東北は4月上旬、その他の地域では、2月下句から花が咲きます。三重県ではバレンタインデーの頃になります。ちなみに北海道や沖縄にはスギがほとんどありません。
このスギの花芽は、前年の夏に作られます。その夏が暑いと雄花の芽が、多くつきます。 翌年の春には、花粉が豊作となるのです。ですから夏季が暑かった翌年は、スギ花粉症の人は、気をつけなくてはなりません。まして早春が暖かいと、開花も盛んになり、沢山の花粉が、いっせいに飛び出すことになります。また空気が乾燥して、風が強い日には、花粉は風に乗って遠くまで飛びます。スギが近くにないからといって油断はできません。
さて、今年 (平成16年春)のスギ花粉飛散はどうなるでしょうか。昨年の7月は例年になく日照時間が少なく平年の60%ぐらいでした。スギ花粉の雄花芽の分化がもっとも盛んな時期が7月でこのシーズンが高温で湿度が低く日照時間が多い場合には花芽がたくさんつくと考えられています。このような理由から、今年のスギ花粉の飛散は著しく少なくなる見込みです。スギ花粉症の人には朗報ですね。
6.まずはお医者さんに診てもらいましょう
さてクシャミに鼻水、目のかゆみなどに苦しんでいるあなた。街の薬屋さんで薬を買ってきて飲んでみても、眠くなって会社での仕事もはかどらないのではないですか。やはりアレルギー専門の医院を訪れることにしましょう。病院ではアレルギーとまぎらわしい病気がいくつもあるので、お医者さんはその判断をします。特に、スギ花粉シーズンは風邪のシーズンとも重なりますので、アレルギーと風邪を区別するために、鼻水を調べて好酸球という細胞がどの程度出ているかを知ることが重要になります。更に、 アレルギーと分かったら、その原因を調べます。そのために鼻の中や目を診て、鼻水や、目やにを採って調べます。鼻のレントゲン検査をし、さらに皮膚テスト、誘発テスト、血液検査などをします。
7.正しい治療は症状をずっと和らげる
病院での検査で、アレルギーの原因になっている抗原 (花粉) の種類がわかったら、自分の症状に合った治療が始まります。治療には 「予防的治療」 と 「対症療法」 と 「治癒をめざす治療」 とがあります。
予防的治療とは、花粉シーズンの少し前から治療を始め、そのままシーズン中も治療を続ける方法です。シーズンに入り、花粉が飛び、症状がひどくなってからでは、薬は効きにくいのです。花粉症は、毎年ほぼ同じ時期に起きるので、早目にお医者さんを訪ねましょう。対症療法はシーズンに入り、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状がでたとき、その症状そのものを、やわらげる治療です。
予防的治療でも、対症療法でも、 自分に適した治療薬を処方してもらうには、お医者さんのもとを訪れるほうがよいでしょう。 街の薬屋さんで買える薬は、一般に副作用のないように、また誰にでも使えるようにと、薬の成分が配合されていて、量も少なめになっています。 しかし、眠気などの副作用を起こす古いタイプの抗ヒスタミン剤が入っています。 薬は、日進月歩で開発されてきています。病院の診察では、ひとりひとりの症状にあったものを飲むことができます。さて、治癒をめざす治療として、実用的なのは 「減感作療法」 とか 「免疫療法」 とかいわれているものです。減感作とは、体の中の抗体を減らすという意味です。免疫療法とは、体の免疫の状態を変えるという意味です。この治療はアレルギーを専門にしているお医者さんにご相談下さい。
8.アレルギー用薬の副作用を防ぐには
ステロイドという薬は、アレルギーにはよく効きます。しかし、副作用も強く安易に使ってはいけない薬です。この薬を使う場合は、必ずアレルギーを専門にしたお医者さんとよく相談して下さい。また、ステロイドの入った目薬は緑内障などを引き起こす可能性がありますので、必ず眼科のお医者さんの指示に従って、正しく使いましょう。
鼻づまりは、鼻のアレルギーの症状のうち、最もわずらわしいものです。鼻づまりは、粘膜が腫れて、起こることが多いのです。このため、血管を収縮させる点鼻薬があります。街の薬屋さんでも売っているので、ついこれを長い期間、何回も使ってしまう人がいます。すると薬が効かなくなり、かえって腫れが激しくなってしまうことがあります。これを薬物性鼻炎といいます。この薬をやめない限り、鼻づまりはよくなりません。鼻の中をよく観察しながら使う必要のある薬ですから、安易にさしてしまわない注意が必要です。やはり耳鼻科で診察を受けるのが無難です。市販薬はレディーメイドです。でも、病院でお医者さんに処方してもらう薬は、あなたに合わせた、いわばオーダーメイドの薬です。ひとりひとりの症状や、体質、さまざまなテストの結果から、その人に合わせて処方されます。だからなるべく、病院での治療をお奨めします。
9.花粉症の克服に向けて
花粉症を克服するためには、お医者さんに通うことはもちろんですが、普段の生活のなかでも花粉症を重くしない工夫をしましょう。花粉のシーズン中は、マスクやメガネを着用して、なるべく花粉にさらされないようにすることが大切です。スギ花粉のシーズンには、新聞やテレビなどで花粉飛散情報が流れます。飛散量は天候により変わりますので、予報は必ずしも正確とはいえませんが、 参考にして下さい。 シーズン中、 晴れて暖かい日や、 雨上がりの翌日、 風の吹く日などは、花粉の飛ぶ量が多くなります。三重県でも新聞に情報が掲載されますし、インターネット三重県花粉情報でも詳細な情報を流しています。お出かけ前にご確認下さい。
10.花粉症を克服する5つのステップ
最後にもう一度、 おさらいをしましょう。
1) お医者さんにみてもらいましょう。
2) 正しい治療を受けましょう。
3) 専門医の説明をよく聞きましょう。
4) 花粉症の治療はシーズン前から開始し、 シーズン中は継続しましょう。
5) 生活の中で花粉症を重くしない工夫をしましょう。