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健康アドバイス30
「すべての国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」
憲法第27条にうたわれておりますが、若い人たちは働きたくても仕事がない。現役世代の人たちは、将来の年金や社会保障を考えると、生活のために心身を酷使(こくし)して一生働き続けなければならない。働けば働くほど税金で搾取(さくしゅ)され、生活は一向に良くならない。憂鬱(ゆううつ)で仕方がない。
厚生労働省の「労働者健康状況調査」によれば、労働者の実に6割もの人が何らかのストレスを感じています。職業生活におけるストレス等の原因としては、職場の人間関係の問題が38.4%と最も多く、仕事の質、量の問題がそれぞれ34.8%、30.6%と続き、会社の将来性の問題、仕事への適正の問題、昇進・昇給の問題、定年後の仕事・老後の問題がそれぞれ約20%ずつとなっております。厳しい経済状況のもと、職場においては更なる成果主義が求められ、それがかえって職場の士気を低下させたり疲弊(ひへい)させているケースも多々見受けられます。会社の業績が上がり、従業員の士気が高まる成果主義は評価出来ますが、働く事によって得られる社会生活への期待感・満足感が失われつつある事が危惧されます。
ストレスが大きくなると、心や身体、日常の行動面に様々な変化が表れてきます。
心理的側面: | 抑うつ症状、意欲の低下、イライラ、緊張、不安など | |
身体的側面: | 高血圧、胃・十二指腸潰瘍、糖尿病、首や肩のこり、動悸・息切れ、下痢・便秘、食欲不振、不眠、肥満など | |
行動的側面: | 作業効率の低下、作業場の事故、アルコール依存、過食・拒食など |
まずは、これら様々な心身の変化がストレスから来ている事に気づく事が大切です。過度のストレスを抱えたまま仕事を続ければ、本人の健康を損ねるばかりでなく、職場全体においても多大なる損失を被るおそれがあり、「職場におけるメンタルヘルス対策」が重要となってきます。
自分自身でストレスに気づく「セルフケア」、いつもと違う部下に気づく「ラインケア」。ストレスに気づけば、ゆっくりと十分な休養をとる事『Relax』が大切で、十分にストレスがとれた時点で職場復帰する事『Return』となります。
ストレスと上手に付き合うためには、自分に過剰なストレスがかかっている事に早く気づき(セルフケア)、自分に合ったストレス解消法を見つけることが有用です。
職場の上司の立場では、作業環境や労働時間などの職場環境等を把握し、いつもと違う部下に早く気づく事(ラインケア)が求められます。
様子がおかしい部下に気づいたなら、むやみに励ましたりせず、まずは話をよく聞き、適切な情報を提供して事業所内の保健スタッフや産業医、医療機関等への受診を促す事が大切です。
十分な休養『Relax』がとれた場合に、職場復帰『Return』が可能かどうかの判断基準には以下の様な点が挙げられます。
明確に出来る配慮はこの2点であり、元の慣れた職場に復帰させる事が原則。休業していた労働者とともに、同僚や上司に対する過度の負荷がかからない様に配慮する事も大切です。
職場は働く場所であるという基本を踏まえ、過度のストレスに対して早期にセルフチェック・ラインチェックで気づき、十分な休養の後に職場復帰する『Relax & Return』。本人並びに職場両方の立場を理解し、中立的な観点から専門的アドバイスを行うのが産業医です。50人以上の事業所には必ず選任されておりますし、50人未満で産業医が選任されていない事業所においては、小規模事業場の事業主およびそこで働く労働者に対する産業保健サービスを充実させることを目的として設置された地域産業保健センターが利用出来ます。
三重県医師会と厚生労働省が委託契約を締結し、松阪地区医師会館内に事務所を設置している松阪地域産業保健センターを御存じですか?