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消化器ガンで手遅れにならないために!
健康アドバイス2
◆はじめに◆
日本人の死因は、肺炎・結核などの感染症から戦後はガンや心臓病・脳卒中などのいわゆる生活習慣病に移行し、特にガンは昭和56年以降死因のトップを占め、総死亡の約3割となっています。ガン死亡の部位別は、男性では肺ガン・胃ガン・肝臓ガン、女性では胃ガン・肺ガン・結腸ガンの順であり、特に消化器ガンが上位を占めています。消化器ガンで手遅れにならないためには、早期発見・治療だけでなく予防にも役立てるようにそれぞれのガンの特徴をよく知っておくことが大切です。
【胃ガンについて】
●症状・・・
胃ガンは、かなり進行しても症状に乏しい場合が少なくありません。進行ガンの症状は食事が通らない、吐き気が続く、貧血による動悸・息切れ・倦怠感などです。一方、早期胃ガンの約半数は痛み・出血・みぞおちの不快感などの何らかの症状で検査を受けて発見されます。
●治療・・・
多くの胃ガンでは外科療法が最も有効な治療法です。ガンが進行していて、腹膜への転移などが認められる場合は胃の病変のみを切除したり、食物の通過を目的にバイパス術などを行いますが、切除可能な胃ガンに対しては胃の2/3から4/5あるいは胃の全部を周囲のリンパ節とともに切除する手術が一般的に行われてきました。最近では、周囲のリンパ節転移の可能性がほとんどない早期の胃がんに対しては、内視鏡でガンの切除を行う胃粘膜切除術や、お腹を切らずに腹腔鏡を使って胃の一部だけを切除する局所切除なども行われるようになり、縮小手術では胃の機能を残すことが出来るので、従来の手術に比し術後の食生活での障害はほとんど認められません。
●早期発見と予防について・・・
X線検査による胃ガン検診は、胃ガン死亡の危険性を50〜60%減少させるといわれています。胃ガン検診で早期に発見できれば手遅れにならないばかりでなく、お腹を切らずに治せる可能性もあるのです。最近ではへリコバクター・ピロリという細菌が胃に慢性の炎症を引き起こし、胃ガンや特殊なリンパ腫の原因の一つになっていることも分かってきました。また、塩分の多い食物やタバコが胃ガンを増やすことは明らかで、新鮮な野菜や果物を沢山食べることが予防に役立ちます。
【大腸ガンについて】
●症状・・・
大腸がんの症状は血便・便が細くなる・残便感・腹痛・下痢と便秘の繰り返しなどですが、これらは直腸に近い部分でのガンに多く認められます。肛門から離れた場所では血便を自覚する事は少なく、動悸や息切れなどの貧血症状や大腸が狭くなりお腹が張ってもどしたりする腸閉塞症状で発症する場合もあります。
●治療・・・
喫煙の循環器系に及ぼす影響も忘れてはなりません。ニコチンの薬理作用に心拍数の増加、血圧上昇、末梢血管の収縮があり1日20本をこえる喫煙者の虚血性心疾患(挟心症、心筋梗塞)の発生率は、非喫煙者の3.2倍という報告があります。また、喫煙、高血圧症、高コレステロール血症と3つが重なると、高血圧症、高コレステロール血症の合併に比べて、虚血心疾患の発生は2倍になります。この他、喫煙は動脈硬化を助長し、身体の免疫力を低下させ老化を促進すると言われています。
●早期発見と予防について・・・
大腸ガンでは、進行ガンの80%、早期ガンの50%に出血が認められますが、多くは肉眼ではわからない程度の出血です。無症状のうちに大腸ガンを発見するには2日間便を採取し、便にわずかな血がまじっていないかを調べます。検診で陽性の場合、バリウムによる注腸透視や内視鏡検査などの精密検査を受けてください。精密検査の1〜2%に大腸ガンが20〜40%にポリープや憩室・痔核などの病変がみつかります。また、痔があるから検診で陽性になったといっても大腸ガンがないとはいえません。検診で便潜血陽性の場合は必ず精密検査を受けるようにして下さい。近年、食生活の欧米化によって大腸ガンは増加傾向にあります。アルコールが特に直腸ガンにリスクを上げるともいわれています。赤身肉の摂取を控え、野菜を沢山取ることが大腸ガンの予防には大切です。
【肝臓ガンについて】
●症状・・・
肝臓ガンに特有な症状はありませんが、肝臓ガンの大部分はB型肝炎・C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎や肝硬変の人にできるため、食欲不振や全身倦怠感といった肝機能障害の症状が主なものです。みぞおちにしこりを触れたり、肝ガン破裂による突然の腹痛・出血でみつかる場合もありますが、これらはいずれも進行した肝臓ガンの症状です。
●治療・・・
外科医療法としての肝切除術や、ガンの栄養血管である肝動脈をつめる肝動脈塞栓術、超音波検査を利用して純アルコールを肝臓ガンに注入し死滅させる経皮的エタノール注入法などがあり、ガンの進行度や肝機能を考慮て選択します。
●早期発見と予防について・・・
肝臓ガンの原因はC型肝炎が70〜80%、B型肝炎が20%であり、C型肝炎から肝硬変になると年7%の割合で肝臓ガンが発生します。他のガンと違い肝臓ガンは発生の高危険群が明らかであり、これらの高危険群を見つけ出し、超音波検査などの画像診断や肝臓ガンで上昇する腫瘍マーカー(血液検査)等を定期的にチェックすることが早期発見につながります。なお、高危険群の方の飲酒は肝臓ガン発生を促進させますので危険です。慢性肝炎患者を早期に診断し、インターフェロン療法等で肝硬変へ移行するのを防ぐことが肝臓ガンの予防につながります。健康診断にて肝機能障害を指摘された場合肥満による脂肪肝やアルコールのせいだと自己判断していませんか?B型肝炎やC型肝炎でないかの血液検査と超音波検査を受けられることをお勧めします。
◆おわりに◆
ガン・大腸ガンは早期発見のための検診法が確立されており、また肝臓ガンは慢性肝炎・肝硬変といったガンの高危険群が明らかとなってきたため、他のガンに比し手遅れにならないための対策がとり易くなってきています。
消化器ガンだけではなく、一般にガンは禁煙で30%、食生活で30%の合計60%は予防できる生活習慣病といわれています。日頃からガンについて感心を持ち早期発見と予防に心がけてください。