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健康アドバイス61
「寝ているときに呼吸が止まる」と言われたことはありませんか?
人間は生きている間、ずっと休まずに息を吸っては吐くという呼吸の動作を繰り返します。意図的に呼吸を止めたとしても、苦しくてすぐに息を吸い込もうとします。
しかし寝てしまうと、息が止まっても苦しいと感じとることができず、起きた時は苦しかったかどうか覚えていません。
寝ているときに呼吸が止まってしまう病気が睡眠時無呼吸症候群です。
呼吸が止まる原因は大きく分けて二つあります。
一つは肥満などでのどが狭くなり、空気の出入りが
もう一つは、
ここでは閉塞型の睡眠時無呼吸症候群について述べたいと思います。
肥満が進むと、のどのあたりにも脂肪が付いて気道が狭くなり、塞がれてしまいます。また、寝たときに舌がのどの奥に落ち込んだり、
「無呼吸」とは、呼吸が少なくとも10秒以上停止した状態を言います。いびきをかいて寝ていた人が、いつの間にかいびきが止まる(無呼吸が起きている)。そのうち「グワッ」と大きないびきが再開して(無呼吸が終わる)いびきが始まる。これを寝ている間繰り返す、というのが睡眠時無呼吸です。
では睡眠時無呼吸症候群はどんな症状をきたすのでしょうか。
無呼吸を繰り返すために質の良い睡眠が充分とれず、睡眠不足となります。このため昼間に眠くなる、仕事中の居眠り、集中力の低下、疲労感などが生じます。頭痛や夜間の頻尿もみられます。
さらに睡眠時無呼吸症候群の大きな問題として、高血圧症や多血症(赤血球の増加)、狭心症、脳梗塞、糖尿病の合併が多いことも知られています。無呼吸により体内の酸素濃度が下がってしまいます。この低酸素血症が、心臓や血管に影響を及ぼしてこれらの合併症が発症すると考えられています。
睡眠時無呼吸症候群を診断する際に使われる言葉に「無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index : AHI)があります。
これは睡眠中の1時間に10秒以上持続する無呼吸、低呼吸が起こった回数を指します。
睡眠時無呼吸症候群の診断は、「上記のような無呼吸の症状に加えてAHIが5以上あるもの」と定められています。
その重症度は
軽 症:AHIが1時間あたり5回以上15回未満見られるもの
中等症:AHIが1時間あたり15回以上30回未満見られるもの
重 症:AHIが1時間あたり30回以上見られるもの
と分類されています。
AHIを測定する検査法として、ポリソムノグラフィー(PSG)が行われています。この疾患は睡眠中の無呼吸の有無を調べる必要がありますから、病院に一泊入院して検査が行われます。無呼吸の有無について調べるために胸壁の動きのセンサー、酸素濃度、脳波(睡眠と覚醒の判定)、心電図、鼻や口の気流計などを体に装着して、一晩寝てもらって検査します。
この検査でAHIの回数がわかり、治療が必要かどうか判定します。 治療については、AHIが20以上ある場合は治療が必要です。軽症から中等症(5≦AHI<30)の場合は、日中の眠気などの自覚症状がある場合に治療の適応となります。
治療法は、
この方法は、寝る前に鼻を覆うマスクを装着し、機械で空気を送ることで気道に圧を加えます(陽圧)。この陽圧が上気道の閉塞を防ぎ、その結果寝ている間の無呼吸が改善されます。
CPAP療法の他には、手術療法(
どの方法を選択するかは、重症度や患者さんの個々の状態に合わせて医師と相談して決めるといいでしょう。
日中眠気が強い方や「寝ているときに呼吸が止まる」と指摘された方は、一度医師に相談することをお勧めします。