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健康アドバイス16
頭痛は病気であるため頭痛に対して適切な治療が必要となります。頭痛があっても、軽度でうまく付き合える方もいらっしゃいますし、頭痛のためにご自身の生活の時間が奪われる、またいつどこで頭痛が起きるか不安を持って大変悩まれている方もいらっしゃいます。
日本人の約3割の人が慢性的な頭痛を持っているそうです。しかし我慢強い日本人社会では頭痛は病気であるとの認識が低いようです。ズキンズキン、ガンガンいつも痛むのに、つい我慢してしまいがちな慢性頭痛を仕方ないとあきらめていませんか?頭痛について知識を深め、理解し、適切な指導をうけ、前向きに治療を始め、快適な生活をおくれるようにすることが大切です。
その頭痛が急性的な頭痛なのか、慢性的な頭痛なのか、また日常的に起こる頭痛なのかにより治療方法も異なります。
また、頭痛が発症した場合、何科の病院で診てもらえばよいのか分からないなど頭痛に対する不安、悩みはなかなか解消されません。今回は頭痛の原因、見分け方などについて簡単に解説したいと思います。
1)血管が原因の頭痛
頭の血管が拡がってその周囲に炎症を起こし、血管周囲の神経が刺激され頭痛が出現します。代表的なものは、片頭痛、群発頭痛です。
2)筋肉・精神的緊張が原因の頭痛
肩こり、精神的緊張、ストレスなどにより筋肉が収縮し、血行が悪くなって起きる頭痛です。緊張型頭痛がこれにあてはまります。
3)頭蓋内病変が原因の頭痛
頭蓋内に器質的疾患を持っているために、頭蓋内圧が高くなったり、髄膜の刺激で生じる頭痛です。脳腫瘍、くも膜下出血、脳内出血、慢性硬膜下血腫、髄膜炎などが上げられます。
4)神経痛が原因の頭痛
三叉神経痛、後頭神経痛、帯状疱疹などの神経痛に起因した頭痛があります。
5)眼・鼻・口腔内疾患が原因の頭痛
緑内障、副鼻腔炎、蓄膿症、顎関節症などで生じる頭痛が代表的です。
国際頭痛分類では、頭痛を細かく14種類に分けておりますが、一般の人にとっては、詳細すぎて複雑と思われます。頭痛を持っておられる方にとって、何よりも大切なことは、細かな分類ではなく、生命に危険性があるかどうかを見極めることが重要です。そこで、頭痛には、
生命に影響を及ぼすかどうか、危険性があるかどうかで、良性の頭痛、悪性の頭痛の2つに分類することもできます。
代表的な頭痛の起こり方と経過を表1に示しました。
●頭痛の起こり方と経過 (表1)
片頭痛 |
|
緊張型頭痛 |
|
混合型頭痛 |
|
群発頭痛 |
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三叉神経痛 |
|
脳腫瘍など |
|
クモ膜下出血 |
■良性の頭痛
代表的なものに、片頭痛、緊張型頭痛、混合型頭痛、群発頭痛があります。このタイプの頭痛は、何回起こっても、痛みが激しくても生命に危険が少ない頭痛です。また脳や体に異常がないのに繰り返し起こるため慢性頭痛とも言われます。
外来に頭痛で受診される患者さんのほとんどがこのタイプの頭痛です。頭痛があると頭蓋内に何か病気があったり、大変なことが起こっているのではと思われがちですが、ほとんどの場合が良性の頭痛です。
片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛についての詳細は、後述します。
■悪性の頭痛
このタイプの頭痛は、生命に危険性がある頭痛です。特に脳卒中などは、治療までの時間が勝負であり、早期発見が重要となってきます。
代表的な疾患として、くも膜下出血、脳内出血、脳腫瘍、硬膜下血腫、髄膜炎などによる頭痛があります。
●危険な頭痛の代表症状
上記は、代表的例ですが、以下の症状が見られるときは、迷わずに専門医(脳神経外科・神
経内科)を受診することをお勧めします。
1)片頭痛
月に1〜2回、多いときは週2〜3回、1〜3日程度続く。頭の片側あるいは両側がズキンズキン、ガンガンと激しく痛みが起こります。特に、20〜40代の女性に多く、頭痛の起きているときは、日常生活に支障をきたすほどですが、治まると完全に痛みがなくなります。
脳の血管の拡張が原因と考えられています。ストレス、音や光、アルコール類、女性ホルモンの変化なども影響されると考えられています。
治療としては、薬物療法としてトリプタン系の薬が有効です。予防として生活リズムを規則正しく保つように心がけ、騒音やまぶしいところを避けたりアルコールの飲みすぎに注意し、頭痛が起きたら静かな部屋で横になってください。
2)緊張型頭痛
ほぼ毎日のように起こり、1日中痛いこともあれば、数時間で終わることもあります。強い痛みではなく、日常生活に支障をきたすほどではありません。頭を締め付けられるように痛みます。
ストレスなどによる筋肉の緊張が原因と考えられ、肩や首筋のこり、眼の疲れ、だるさ、疲労感などを伴うこともあります。
治療としては、筋緊張をほぐす薬、抗不安薬などを服用し、ストレス発散法を見つけることが大切と思われます。マッサージ、軽い運動、散歩、柔軟体操などが有効なこともあります。ストレスの原因となるものをチェックし、できるだけ遠ざけるようにしましょう。
3)群発頭痛
年に1〜2回の周期で、期間は1〜2ヶ月程度集中して起こるのが特徴です。どちらかの眼の奥をえぐられるように感じたり激しく痛みます。涙や充血などの症状を伴う場合もあります。アルコールにより痛みは増強し、特に20〜30代の男性に多く見られます。また、毎日決まった時間、特に朝方に起こることが多いようです。
頭痛の起こっている間は、禁酒するようにしましょう。頭痛に対しては、酸素吸入、薬物療法としてトリプタンが有効です。
≪表2≫ |
片頭痛 |
緊張型頭痛 |
群発頭痛 |
病気の頻度 |
8.4% |
22% |
0.1〜0.2% |
頭痛の頻度 |
数回/1年-1回/1週 |
数回/1月‐毎日 |
1回/2日-8回/1日(群発期) |
痛む側 |
片側(両側性40%) |
両側 |
厳密に片側のみ |
痛む場所 |
前、側頭部 |
後頭部、全体、はちまき様 |
眼窩部、側頭部 |
頭痛の性質 |
拍動性 |
締め付けられる圧迫感、頭重感 |
焼け火箸で眼をえぐられるような |
頭痛の強さ |
中等度‐高度 |
軽度-中等度 |
最も強い |
頭痛の持続 |
4-72時間 |
30分-7日 |
15分-3時間 |
性差 |
女性に多い(男性の4倍) |
やや女性に多い |
男性に多い |
伴う症状 |
眼がチカチカする(閃輝暗点) |
肩こり、めまい感(ふわふわ) |
眼の充血、涙、鼻水、鼻づまり、まぶたのむくみなど |
頭痛の誘引 |
寝不足、寝すぎ、月経、光、騒音、匂いなど |
精神的、肉体的ストレス |
アルコール、気圧の変化(群発期のみ) |
改善方法 |
睡眠、痛いところを冷やす |
入浴、飲酒、運動 |
酸素の吸入 |
その他 |
日常動作、入浴で増悪する |
日常動作で頭痛は悪化しない |
頭痛発作の起こる群発期と発作のない期間が存在する |
頭痛の起きた日、強さ、持続時間、部位(片側か両側か)、痛み方の具合、それに伴う症状、又痛みを引き起こす原因などを記録することで頭痛の特徴が判明してきます。医師の診察を受けるときも大いに役立ちます。頭痛の治療の第一歩は、確かな診断を行うことからです。
頭痛の診療に関しては、まずはかかりつけ医に相談してください。ただし、悪性の頭痛が疑われた場合は、専門医(脳神経外科・神経内科)の診察を受けてください。