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健康アドバイス71
骨がもろくなり骨折しやすくなる病気のことを指します。
骨粗鬆症になると、どこかが痛くなるということはほとんどありません。つまずいたりすべったりして転倒するだけで骨折してしまう脆弱性骨折(ぜいじゃくせいこっせつ)を来しやすくなります。例えば転倒して手をついて手首を骨折したり、尻もちをついて背骨(せぼね)や大腿骨を骨折したりします。
女性は男性よりも骨がもろい傾向にあります。特に女性は閉経(生理が終わること)すると、ホルモンの影響でみなさん骨がだんだんともろくなります。
70才を超えてくると、平均の骨密度でも骨粗鬆症と診断される程度に低下してくるので、70才になったら一度骨密度検査を受けることをお勧めします。その時は、できれば、かかとの超音波ではなく、病院で腰や大腿骨の骨密度検査を受け、正確に診断することをお勧めします。
骨折すると、当然ですが折れた部分が引っ付いて骨折が治るまで痛みが続きます。骨折する場所によっては、痛みがいつまでも残ってしまい日常生活に支障が出ます。また、骨折の場所や折れ方によっては、手術が必要となることもあります。
さらには長い目で見ると、骨折や転倒は介護が必要となることもあります。国の調べによると骨折や転倒は、介護が必要となる原因として認知症、脳卒中に次いで第3位になっています。また、背骨の骨折や大腿骨の骨折は、骨折していない人より長生きできなくなるというデータも出ています。
骨折をしてしまうと今まで通りの日常生活が送れなくなるため、骨折をしない、したとしても1回で終わらせることが、骨粗鬆症の治療の目標となります。
転倒して手をついてしまって、手首の骨折をするということはよくあります。もしご自分が手首を骨折してしまった時、仕方ないことだと考えないでください。50代で手首を骨折して骨密度検査をしたら、すでに骨粗鬆症になっていたということはよくある話です。
手首の骨折は、骨粗鬆症の始まりの可能性があります。その後におこる背骨や大腿骨の骨折を防ぐ必要があります。また骨折をするかもしれないと考え、骨密度検査をしてください。手首の骨折をしたことがある人は、骨折したことが無い人よりも早い段階で骨粗鬆症の治療を開始した方がよいと考えられています。
一度骨折をすると、すぐに次の骨折をおこすことがよくあります。背骨の骨折を経験した人は、骨折をしたことが無い人に比べて、もう一度背骨を折る確率が5倍になります。また背骨をすでに骨折している人は、骨折をしたことが無い人よりも、大腿骨の骨折は2.5倍おきやすくなります。
手首や大腿骨の骨折は痛みが強いことが多いので、自分で気づき見逃されることは少ないのですが、背骨の骨折は見逃されることが多くあります。
その原因の一つとして、骨折しても歩けることがあります。転倒し腰痛があっても歩けてしまうので、本人や身の周りの人も折れていないだろうと考えてしまうことがあります。
他の原因として、レントゲンで診断ができない時があります。腰痛があり、どこかの病院を受診してレントゲンを撮ってもらって、「折れていません」と言われ安心して帰宅します。そして、痛みが続くため別の病院を受診してもう一度レントゲンを撮ってもらい、「やっぱり折れてますね」と診断されることはよく聞く話です。
背骨の骨折を見逃さない為には、以下のことに注意してください。
1.寝ようとしたり、起き上がろうとしたりすると痛みがある。
骨折をしていると、動き出しで痛みが生じることが多くあります。しかし、立ってしまったり、寝てしまったり、座ってしまったりすると痛みが楽になるという特徴もある為、骨折していないと判断されてしまうことがあります。寝たり起きたりする時に痛みがある場合は、病院受診をしてください。
2.1週間以上、痛みが続く。
ちょっと捻ったり、打ったりといった軽いケガの場合は、1週間以内に楽になることが多いのですが、骨折していると1か月近くは痛みが続きます。1週間経っても痛みが続く場合も、病院を受診しましょう。また、寝起きの時に痛かったものが、1か月で治ってきたという場合も、病院受診をした方が良いと思います。
骨折の経験があれば、必ず骨密度検査を受けましょう。
親が大腿骨の骨折をされている方は、ぜひ骨密度検査を受けてください。
また、糖尿病やステロイド治療、前立腺がんの治療などの影響や、お酒やたばこも骨粗鬆症のリスクを高めますので、もし気になるようでしたら、かかりつけ医や整形外科で相談してください。